不動産を活用した相続税対策を検討するとき、利回りばかりに気を取られる方がいらっしゃいますが、一番重要なのは将来的に売却できるか否か―「出口戦略」です。
つまり、相続税対策として不動産を活用する段階から、将来的に売却できる物件を選定しておく必要があるということです。
相続税対策のために不動産を購入する場合の多くは金融機関からの戦略的な借入金を伴いますが、この借入金を引き継ぐのは当然ですが相続人です。不動産の購入に係る借入金ですから30年等の長期ローンも珍しくなく、場合によっては更に次の世代にまで借入金が引き継がれることもあります。
相続人は相続発生後、相続した不動産の賃貸事業を継続するか、あるいは売却して借入金を返済し一度身ぎれいにするか、どこかで判断するときが来るわけですが、もし、物件そのものが売却のことを考えて選定されたものでなければ、相続発生後に賃貸事業を継続するしか選択肢がなくなってしまいます。
物件を売却して借入金を完済したくてもできない、こういう構図は健全ではありません。
よって、予め将来的に売却できる物件を選定しておくことは非常に重要です。
また、アパート経営を推奨するセミナーなどに参加しますと、比較的安いが駅から遠い旗竿地などを購入してアパートを建築し、将来の年金を自分で準備しようという謳い文句を頻繁に耳にしますが、こういった将来売却が難しい土地の購入は、相続税対策はもとより資産運用という観点からもあまりお勧めできません。
購入した土地を売却しないということは元本の回収を放棄したということと同義であって、例えば1億円をかけて土地を購入してアパートを建築し、家賃収入が年間1,000万円ある場合の利回りを10%と認識するのは実は間違いであって、元本を回収しないのですから10年経ってやっと初期投資分を回収したに過ぎず、10年間の利回りは0%です。
11年目の家賃からがやっと利益と呼べるものであり、11年間での利回りが10%、単年度に換算すると0.9%にしかなりません。
一方、11年後に購入価額の9割で土地を売却して元本を回収することができたとしますと、初期投資1億円に対して、収入は家賃収入11年間11,000万円と土地売却代金9,000万円ですから2億円となります。11年間での利回りは100%、単年度に換算しますと9%になります。
このように、資産運用という観点からも予め将来的に売却できる物件を選定しておくことは非常に重要です。
北村税理士事務所では、「出口戦略」を見据えた物件の選定、好条件での金融機関からの借入及び物件購入後の日々の運用サポートなど、有能な専門家陣とチームを組んでフルパッケージで相続税対策を展開しています。