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株の売買をしている方は要注意です。(みなし取得費について)

2010-10-06(水) 08:29:11

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平成22年度税制改正により、平成13年9月30日以前に取得した上場株式等の取得費の特例(みなし取得費)については、平成22年12月31日をもって廃止されることとなりました。

この「みなし取得費の特例」とは、平成13年9月30日以前から引き続き所有していた上場株式等を、平成15年1月1日から平成22年12月31日までに譲渡した場合には、その上場株式等の譲渡所得の計算上、収入金額から控除する取得費は平成13年10月1日における価格の80%相当額とすることができる、という制度です。

個人投資家は、実際の取得費と平成13年10月1日における価格の80%相当額とを比較し、どちらか有利な方を選択することができたのですが、この制度が今年いっぱいで廃止されることとなりました。

ここで注意が必要なのが、古くから所有していたり相続により取得した場合など、実際の取得費がわからないケースです。

「みなし取得費の特例」が使えた場合は実際の取得費が不明であっても問題なかったのですが、同特例廃止後は実際の取得費が不明ですと、収入金額の5%が取得費だとして計算することになります。

そうするとほとんどのケースが大幅に所得が増えます。よって税金も増えます。

証券会社の一般口座に取得費が不明な上場株式がある場合は、早めに取得価額の把握に努めた方がよさそうです。

ペイオフ発動により生じた損失は税法上なんら救済されない?!

2010-10-05(火) 08:11:19

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日本振興銀行の破綻により我が国で初めてペイオフが発動されましたが、個人の場合は税法上なんら救済されない可能性が高いです。

ペイオフでは、預金者一人当たり元本1,000万円までとその利息の合計額については預金保険制度により保護されます。しかし、1,000万円を超える部分については必ずしも全額は保護されません。

では、保護されなかった部分は税法上どのように取り扱われるでしょうか?

まず、利子所得の費用としてみることができるか否かですか、そもそも利子所得にはそこから控除できる費用という概念が存在しません。所得税法もそのようになっていますから、利子所得から費用として控除することはできません。

次に雑損控除を受けることができるか否かですが、雑損控除を受けられる場合とは、「災害又は盗難若しくは横領」により、資産について損害を受けた場合ですから、これにも当てはまりません。

次に個人事業主の場合の資産損失としての必要経費算入の可能性ですが、この場合の資産とは、「不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産」となっており、普通預金や定期預金はこれに該当しないため、必要経費算入も不可です。

よって、個人の場合、現行税法では事業主であるか否かを問わず、ペイオフ発動により切り捨てられた部分は、税法上なんら救済されません。

但し、ペイオフ発動は我が国では初めてのケースであるため、今後何らかの手当がされるかも知れません。

注視していきたいと思います。

長崎年金訴訟の影響で5年を超えて遡って税金が還付

2010-10-01(金) 17:51:57

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国税庁の10月1日付けの発表によりますと、長崎年金訴訟の判決を受けて、現行税法で還付可能な期間である5年を超えて税金を還付する方針のようです。

 

長崎年金訴訟についてはこちら↓

 

https://www.hkao.jp/20100901/142

 

国税庁の発表はこちら↓

 

https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h22/sozoku_zoyo/pdf/9382.pdf

現行の国税通則法では5年以上遡って税金を還付することはできません。

 

これはあまり長く還付を認めてしまうと租税債権が確定せず、歳入の確保ができなくなるためです。

 

しかし、今回、国は5年以上遡って税金を還付する方針を決めました。

 

相続したゴルフ会員権の名義書換料が、ゴルフ会員権の取得費に含まれるか否かが争われた所謂右山訴訟でもそうでしたが、最高裁判決による影響はそれだけ大きいということなのでしょう。

 

ところで、5年を超えて遡るといっても無制限に遡るのではなく、民法上の一般貸金の消滅時効である10年を参考とし、平成12年分以降について特別立法を経て救済する方針のようです。

 

特別立法がいつ成立するのかは今後の話ですので今はまだ未定ですが、注視していきたいと思います。

就業規則は大丈夫ですか? (その4)

2010-10-01(金) 10:44:10

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<承前>

就業規則の作成例として参考になりそうなことを列挙します。

(例4)

退職を決めた従業員は実際に退職日を迎えるまでの期間、モチベーションが最も低い状態にあります。

そんな期間に業務の引き継ぎをしなければなりませんので、引き継ぎは完了した、しないでトラブルになるケースがあります。

そこで、引き継ぎは部長、課長などの確認を得て初めて完了する旨、及び、確認を得ないで退職していった場合は懲戒対象とする旨を定めておくと一定の効果があります。

懲戒になれば退職金の減額や不支給に該当することもあるでしょうから抑止力になります。

(例5)

始業時刻とは業務を開始する時刻であって出社時刻ではありません。同様に終業時刻とは業務を終了する時刻であって退社時刻ではありません。これを勘違いしている社員が結構いて、出社後に始業時刻を過ぎてもゆっくりコーヒーを飲んでいる光景をよく目にします。

そこで、就業規則にそのことを明記しておくと一定の効果があります。

(例6)

整理整頓されていないと業務効率は落ちます。よく机の上の状態がその人の頭の中の状態であると言いますが、あながち外れてもいないと思います。

そこで、きちんと整理整頓することも就業規則に明記しておくと一定の効果があります。

起業で成功する人の思考法

2010-09-30(木) 18:09:38

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「東大生・医者・弁護士になれる人の思考法」

小林公夫・ちくまプリマー新書(2010年)

という本の冒頭に、難関試験に成功する人と失敗する人の違いとして、壁にぶつかった際にそれを乗り越えていけるタイプの人間は、素直に他者の言葉に耳を傾け、軌道修正できるタイプが多い、と書かれています。

続けて、「打たれ強い精神的タフさや粘り強さ、自己管理能力なども重要な要素とはなりましょうが、素直に人の意見を聞き、「心に開かれた窓」を持つ者は、大きく伸長していく」 とあります。

実はこれは経営も同じで、たまに頑として自分の意見を曲げない社長に出会うことがありますが、ポリシーを曲げない、ぶれないということは、他人の意見を聞かないということとイコールではありませんので、人の意見は大いに聞くべきです。

また、同書には、難関試験に合格する人の共通点として、「長期目標を掲げている」 とありますが、これなんかはまさに経営と同じです。

難関試験に挑戦し、途中でくじけずに最後まで頑張って結果を出す人は、自分がなぜ今勉強する必要があるのかを本質的に理解しています。ですから壁にぶつかっても途中で投げ出したりせず、自分の目標達成のために頑張れるのです。

この場合の長期目標とは、例えば、医師になって多くの患者を救いたいとか、弁護士になって社会的弱者を救いたい、ということです。

これに対し、短期目標とは、次回のテストで10位以内に入ろうとか、今度の試験で100点を取ろうとか、そういうことです。

人は、短期目標だけですと、テストが終了すると同時に気持ちが弛緩したりしますし、また、スランプに陥った際には何故勉強しなければならないのか、などと感じてしまい目標を失いがちです。

ところが、長期目標があれば、勉強する意味を本質的に熟知していますので途中で投げ出すことなく頑張れるというわけです。

経営も同じで、長期目標がはっきりしている会社は強いです。

同じようなことを経営コンサルタントの小宮一慶氏は、「目的と目標」 という言葉で説いています。

小宮氏いわく、目的と目標は違う。「目的」とはその会社の理念やビジョンであり、会社が目指すべき方向性のことであって、「目標」とは今月の売上を前年同月比で10%UPにするとか、業界内シェア50%以上にするとか、そういうことです。

そして、利益を目的としている会社は絶対に続かない、と説いています。

これについてはまた別の機会に触れたいと思いますが、要するに受験勉強も経営も長期目標がはっきりしていることが重要である、ということです。