HOME >BLOG

BLOG

附帯税の概要

2011-10-24(月) 19:46:07

カテゴリー:

自ら申告した申告書の内容が間違っていた場合や申告しなければならない者が申告しなかった場合等は,本来納税すべき本税に加え,附帯税を納税しなければなりません。

今回はその附帯税の概要をご説明します。

①過少申告加算税

 提出期限内に申告した申告書の内容が過少であった場合に課せられるもので,税率は追加で納付すべき税額の10%。但し,追加で納付すべき税額が最初に納付した税額と50万円とのいずれか多い額を超える場合には,その超過部分については更に5%追加される。

②無申告加算税

 提出期限内に申告書を提出しなかった場合に課せられるもので,税率は本来納付すべき税額の15%。但し,その納付すべき税額が50万円を超えるときは,その超過部分については更に5%追加される。

③不納付加算税

 源泉徴収による国税がその納期限までに完納されなかった場合に課せられるもので,税率はその完納されなかった税額の10%。

④重加算税

 上記①~③までの加算税が課税される場合において,納税者が事実の全部または一部を隠ぺいし又は仮装した場合に課せられるもので,税率はその隠ぺいし又は仮装した部分について35%(①と③の場合)又は40%(②の場合)。

⑤延滞税

 納付すべき国税を法定納期限までに完納しないときに課せられるもので,税率はその未納期間に対して未納部分の14.6%。但し,最初の2か月は7.3%(現在は更に措置法で4%+基準割引率に軽減されている)。

 延滞税は上記①~④と重複して課税される。

⑥利子税

 延納や物納,申告書の提出期限の延長等の措置に基づき法律の定めるところにより納付を延期した場合に課税されるもので,税率は原則7.3%。但し,現在は措置法で4%+基準割引率に軽減されている。相続税の延納等については更に軽減措置がある。

 単なる計算ミスやうっかり納税ミスでも原則として過少申告加算税や不納付加算税は課税されます。

 重加算税にいたっては最高で40%です。通常の法人税30%と合わせれば国税だけで70%です。これに地方税を加えますと脱税した場合の税率は80%~90%になります。

消費税の免税制度に新たな基準が加わります。

2011-09-27(火) 08:37:35

カテゴリー:

消費税の免税制度が改正されます。

これまでは,前々年の課税売上が1,000万円を超える場合に消費税が課税されていましたが,改正後は,この基準に加え,前年の当初6カ月の課税売上が1,000万円を超える場合も消費税が課税されることとなります。

この改正は,平成25年1月1日以後に開始する年(法人の場合は事業年度)から適用になります。

そうすると,今後,法人成りを検討している方は注意が必要です。

例えば,平成22年から個人事業者として事業を開始した方で平成24年から法人成りを予定していた場合。

この場合,改正前までは,平成22年と平成23年は個人事業者として消費税免税,平成24年に法人成りをして平成24年と平成25年は法人として消費税免税,でした。

しかし,改正後は,平成24年の当初6カ月の売上が1,000万円を超えると平成25年は課税となります。

そこで,この場合の対応方法ですが,平成24年に法人成りするのではなく,平成23年の12月に法人成りをします。そうすると,この法人の事業年度は12月から翌年11月までとなります。

改正法は平成25年1月1日以後に開始する事業年度から適用となるわけですから,1年弱適用を受ける期間を後ろに引き延ばすことができます。

約1年分の消費税が得するわけですから検討の価値は大いにあります。

法人成りを検討している方は気をつけて下さい。

更新料裁判

2011-08-18(木) 08:12:32

カテゴリー:

 更新料裁判とは,マンションやアパート,事務所等の不動産賃貸借契約において,更新料を支払うと定めた条項が消費者契約法に照らし,違法であるか否かが争われた裁判です。

 消費者契約法第10条は,「消費者の利益を一方的に害する契約は無効」と定めており,更新料がこれに該当するか否かが争点となっていました。

 下級審での判断は以下の通り割れており,更新料の支払いを定めた条項が有効であると判断したものもあれば,無効と判断したものもありました。

 東京地裁H17.10.26判決 有効

 京都地裁H20.01.30判決 有効

 大津地裁H21.03.27判決 有効

 京都地裁H21.07.23判決 無効

 大阪高裁H21.08.27判決 無効

 京都地裁H21.09.25判決 無効

 大阪高裁H21.10.29判決 有効

 大阪高裁H22.02.24判決 無効

 そして,大阪高裁での3つの裁判は全て上告され,最高裁がどのような判断をするのかが注目されていましたが,平成23年7月15日,最高裁は「更新料が高額過ぎなければ有効」とする初判断を下し,借主側の敗訴が確定しました。

 これにより,貸主側はこれまで通り更新料の条項を入れておくことができるようになりましたが,仮に貸主敗訴になっていた場合,貸主にとっては経営上かなりの痛手になっていたものと思われます。

 といいますのは,最高裁での借主側の主張は,更新料の支払いを定めた条項が無効であることを前提に,更新料の支払拒絶を主張するだけではなく,過去に支払った更新料の返還をも求めていたからです。

 もしも最高裁が更新料の支払い条項を無効と判断していたならば,全国で同様の訴訟が乱立し,賃貸事業は大混乱になっていたことでしょう。

 そういった意味において,この最高裁判決は大変意義のあるものと言えそうです。

 また,更新料裁判に類似する訴訟として取り上げられる敷引裁判ですが,こちらも平成23年3月24日の最高裁判決に続き,同年7月12日の最高裁判決でも敷引有効との判断が下されました。

 これにより,借主退去時に貸主が敷金から一定の金額を控除する敷引条項(関東ではこれを「保証金の償却」といいます。)は,消費者契約法に違反せず,原則有効であるとの見解が確立されたものと言えそうです。

季節外れの税制改正

2011-07-22(金) 07:58:19

カテゴリー:

震災の影響で今年度の税制改正は例年と大きく異なった動きをしておりまして、3月末の繋ぎ法案を経て,6月30日に「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律」が成立しました。

この改正法は例年と異なる時期に成立したためか余り脚光を浴びてませんが,消費税に関してかなり重要な改正項目を含んでおります。

まず,仕入税額控除制度が改正され,納税者にとって不利になりました。

消費税は,「売上げに係る消費税から仕入れに係る消費税を控除し,余りを納税する(マイナスの場合は還付)。」という仕組みですが,この仕入れに係る消費税を控除する部分が制限されるようになります。

具体的には,これまで課税売上割合が95%以上の場合は,課税仕入れに係る消費税額の全額の控除が認められていたのですが,改正後は当該課税期間の課税売上高が5億円以下の事業者に限定されるようになりました。この改正は平成24年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

次に,事業者免税点制度が改正され,納税者にとって不利になりました。

これまでは,2年前の課税売上高が1千万円を超えない場合には消費税の納税義務はありませんでしたので,設立初年度及び2年目は自動的に消費税は免税となっていたのですが,改正後は前年上半期の課税売上高又は給与支払総額が1千万を超えた場合には,免税とならずに消費税の納税義務が生じることとなりました。

この改正は平成25年1月1日以後に開始する年から適用されます。

役員として出向している者の給与負担金に注意

2011-06-28(火) 07:29:16

カテゴリー:

出向者が出向先法人において役員である場合、出向元法人が出向先法人に対して支払う給与負担金は、次の条件を満たす場合にのみ出向先法人の給与とされます。

①出向先法人が支払う給与負担金の額につき、株主総会等の決議を得ていること。

②出向契約において出向者の出向期間及び給与負担金の額が予め定められていること。

親会社が使用人を子会社に役員として出向させた場合に、当該出向社員に対する毎月の給与は親会社が本人に支払い、当該給与に相当する給与負担金を子会社が親会社に支払うということはよくあることだと思います。

この毎月の給与については上記①及び②の条件を具備していれば問題ありませんが、税務調査でよく指摘されるのが賞与です。

賞与を親会社の業績により金額を決定して本人に支給し、それに相当する給与負担金を子会社が親会社に支払うといったケース。このケースでは、賞与部分は上記②の条件を充足しないため子会社において損金不算入となります。

そのほか出向に伴う給与負担金については、取扱いを間違えると税務上問題になるケースが多々ありますので注意が必要です。