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贈与税負担無しで次世代に1億円贈与する方法

2014-06-22(日) 16:32:08

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相続税対策として賃貸不動産を購入する方法は今も昔も有効であり,スタンダードな方法の一つでありますが,今回は,法人を利用することで贈与税を負担することなく次世代に財産を移転する方法をご説明します。

 

基本的な考え方は個人も法人も同じで,不動産の市場価格と相続税評価額の乖離を利用します。

 

1億円で買った賃貸不動産でも相続税の計算をするときの相続税評価額はそれよりも相当低いことが一般的であり,30%減,50%減は珍しくありません。これを利用します。

 

①まずは財産を移転したい方が1億円を出資して法人を設立します。

資本金1億円を超えますと中小企業に認められている各種税額軽減措置が適用できなくなりますので,資本金は最大で1億円とします。

この時点では現金1億円が新設した法人の「株式」という財産に移転しただけで,当該株式の株価は1億円のままです。

 

②次に,新設した法人で2億円の銀行融資を受けて,3億円の賃貸不動産を購入します。

購入後における法人の株価は,当該法人が所有している財産を一つひとつ評価し,その合計額をもって評価額とします。

そうしますと,前述の通り,賃貸不動産は購入した金額ではなく相続税評価額で評価しますので,3億円で購入した賃貸不動産であっても相続税評価額はそれよりもずっと低い価格での評価が可能となります。ここでは半額の1億5千万円になったとします。

借入金はそのまま評価しますので2億円のままです。

その結果,資産1億5千万円から負債2億円を控除するとマイナス5千万円となり,この時点で当該法人は債務超過となります。

債務超過の法人の株価は0円です。

 

③0円となった株式を次世代に贈与します。

0円の株式を贈与しても贈与税は課税されませんので,これにより,贈与税を負担することなく現金1億円を賃貸不動産という資産として贈与することができました。

 

ただし,一点だけ注意が必要です。

説明をシンプルにするために「3億円で買った賃貸不動産が1億5千万円の評価額に下がる」としましたが,評価額が下がるまでには少なくとも3年の期間が必要になります。

株価評価上,土地と建物は購入して3年間は相続税評価額ではなく通常の取引価額で評価すると定められているためです。そのため,3年の間は株価は下がりません。

 

この仕組みを応用しますと,既に好業績の会社を経営されていて,当該法人の株価が高く,このままでは相続税の負担が心配だという方にも対応できます。

 

今も昔も賃貸不動産を利用した相続税対策は有効です。

 

 

老人ホームに入所する場合の小規模宅地等の特例の注意点

2014-06-02(月) 12:54:55

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相続が発生した場合において,被相続人が亡くなる直前まで居住していた宅地や事業で使用していた宅地については,一定の要件のもとに,その土地の80%或いは50%を課税の対象から除いてあげますという特例があります。

これを「小規模宅地等の特例」といいます。

 

例えば,夫名義の土地建物(土地の時価1億円と仮定)に夫婦二人で居住していて夫が亡くなった場合に,この土地建物を妻が相続するケースでは,相続税の課税価格に算入される土地の価格は2千万円です(80%減額)。

減額される額が大きいですので,この特例が適用できるか否かで相続税額はかなり変わってきます。

 

昨今,人生の晩年を老人ホームで過ごす人も増えておりますが,この場合,小規模宅地等の特例はどのように取り扱われるのでしょうか。

 

一般的に,居住していた建物を離れて老人ホームに入所したような場合には,それに伴い生活の拠点も移転したものと考えられるため,老人ホームに入所した時点で自宅は自宅でなくなります。

よって,「小規模宅地等の特例の適用は無い」とも考えられます。

 

しかし,個々の事例のなかには,その者の身体上又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため居住していた建物を離れて老人ホームに入所しているものの,本当は自宅での生活を望んでおり,いつでも居住できるように自宅を維持管理しているケースもあり,このようなケースについては病気治療のため病院に入院した場合と同様な状況にあるものと考えられる場合もありますから,一律に生活の拠点を移転したものとみるのは実情にそぐわない面があります。

 

そこで,老人ホームに入所するため,それまで居住していた建物を離れることになった場合においても,次に掲げる状況が客観的に認められる場合には,それまで居住していた建物の敷地は,相続開始の直前においてもなお居住の用に供されていた宅地等に該当するものとして差し支えないものとされます。

 

(1)被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため,老人ホームへ入所することとなったものと認められること。

(2)入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。

 

従いまして,老人ホームへ入居後に自宅を他者へ貸付けたり,もともと居住していた親族以外の居住の用に供したりしますと,80%減額の適用が無くなりますので注意が必要です。

 

尚,以前は次の要件も充足しないと老人ホーム入居後の自宅に小規模宅地等の特例を適用することはできませんでしたが,平成26年1月以降は上記2つの要件を充足すれば良いこととなりました。

(1)老人ホーム入居後も本人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていること。

(2)その老人ホームは,本人又はその親族によって所有権が取得され,あるいは終身利用権が取得されたものでないこと。

 

よって,今は終身利用権付きの老人ホームであっても問題ありません。

 

試用期間における雇用管理Q&A

2014-04-29(火) 13:35:30

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社会保険労務士山口事務所の山口寛志先生に許可を頂きまして同事務所発行のレポートを転載させて頂きました。

 

Q.試用期間中の給与額を本採用時よりも低く設定して良いか?

A.あらかじめ就業規則や雇用契約書で明示をすることで可能です。

試用期間は新入社員の適性を見極めるための期間だから本採用時よりも給与を低くしたい。そのような場合は,予め就業規則や雇用契約書など書面で明示をしておきます。後々のトラブル回避のためにも,募集・採用の時点で明らかにしておく方が良いでしょう。ただし試用期間でも最低賃金は適用されますので,不当に給与額を低く設定することは出来ません。

 

Q.試用期間中なら自由に解雇出来る?

A.解雇には相当の理由が必要です。入社15日目以降に解雇する場合は解雇予告手当の支払いが必要です。

適性見極めのための期間である試用期間においては,本採用後に比べて解雇が認められやすくなっています。しかし客観的にみて解雇を行う合理的な理由なしには解雇を行うことは出来ません。解雇を行う場合,入社後14日までならば即時解雇が可能ですが,入社15日目以降に解雇を行う場合は30日以上前に解雇予告を行うか,または平均賃金30日分以上の解雇予告手当の支払いが必要です。

 

Q.試用期間中は社会保険に加入しなくてもよい?

A.試用期間であっても社会保険の加入は必要です。

本採用が決まった訳じゃないし,会社の社会保険料負担もばかにならない。本採用が決まったら加入手続きをとればいいや,という訳にはいきません。試用期間中であっても,加入基準を満たしている場合は社会保険や雇用保険の加入が必要です。

 

Q.最初の1ヶ月だけ給与が低く,2カ月目から昇給する場合,社会保険の加入手続きは昇給後の給与額で行わなければならない?

A.加入手続き時は最初の低い給与額でOKです。

 

Q.最初に短期間の有期雇用契約を結んで試用期間の代わりにしてもいい?

A.適性見極めのための有期雇用契約は,無期雇用契約期間内の試用期間とみなされることがあります。

試用期間を契約期間の短い有期雇用契約にすれば,その間社会保険に加入しなくて済むし,本採用したくない場合には雇用期間満了に出来るし,一石二鳥じゃない?というお問合せを頂くことがあります。しかし有期雇用が適性判断のための期間である場合,その契約期間は試用期間であるとみなされることもあります。

 

Q.試用期間中の給与を残業代込みの定額払いにしてもいい?

A.雇用契約書に基本給と残業代相当額を分けて明記する必要があります。

 

 

社会保険労務士山口事務所

代表 特定社会保険労務士 山口寛志

〒151-0051東京都渋谷区千駄ヶ谷1-7-5 ヒロビル2F

TEL 03-5775-0762 FAX 03-5775-0763

 

経営者保証に関するガイドラインについて

2014-03-22(土) 14:25:00

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株式会社等の法人が銀行などの金融機関から借入をする場合,その法人の社長が個人保証するのが我が国の常識です。

法人の借入ですが社長が個人保証しますので,実質的には個人での借入とほとんど変わりません。

仮に法人の経営が立ち行かなくなり法人として借入を返済することができなくなった場合には,それを個人保証している社長は私財をなげうってでも返済する義務があり,それができなければ自己破産です。

 

こうした社長の個人保証すなわち経営者保証は,経営者の規律付けや法人の信用を補完して資金調達を円滑にするという側面がある一方,経営者による思い切った事業展開や一度失敗した経営者の再チャレンジを阻害する要因になっているなど,様々な課題が存在します。

 

そこで,これらの課題を解消して中小企業の活力を引き出すため,日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会を事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」から,中小企業,経営者,金融機関共通の自主的なルールとして「経営者保証に関するガイドライン」が策定されました。

 

このガイドラインの適用は2014年2月からで,その概要は以下の通りです。

 

経営者の個人保証について,

①法人と個人が明確に分離されている場合などに,経営者の個人保証を求めないこと。

②多額の個人保証を行っていても,早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え,年齢等に応じて100万円~360万円)を残すことや,「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること。

③保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること。

などを定めることにより,経営者保証の弊害を解消し,経営者による思い切った事業展開や早期事業再生等を応援する。

 

尚,第三者保証についても上記②及び③については経営者本人と同様の取扱いとなります。

 

このガイドライン,残念ながら法的拘束力は有りませんが,金融庁と中小企業庁が実質的に主導した経緯があり,また,金融庁はそのHPにおいて「当庁としては,本ガイドラインの周知・広報に努めるとともに,金融機関に対して積極的な活用を促すことにより,本ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくよう努めてまいります。」とコメントしていますので,ある程度の実効性は期待できると言えそうです。

 

金融機関から見て自分の会社の債務者区分が「正常先」であるならば,迷わず保証人を外してもらいましょう。

ただし,その前に,会社財務の透明性を高め,公私混同を止め,しっかり利益を出して納税し,内部利益を蓄積する覚悟は必要です。

 

東京税理士会の会報に論文を寄稿しました。

2014-02-20(木) 22:03:17

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東京税理士会の会報に論文を寄稿しました。

 

東京税理士会 会報2014年2月1日号「論壇」

テーマ「売電事業における事業的規模の判定―不動産所得との比較論」

東京税理士会会報2014年2月1日号「論壇」

 

以下のHPにも掲載されています。

東京税理士会