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事前確定届出給与

2024-11-20(水) 19:49:13

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法人税法では,役員に対して支給する給与(退職給与その他一定のものを除く)のうち,定期同額給与,事前確定届出給与及び業績連動給与に該当するものだけが損金の額に算入されます。

これらのうち,事前確定届出給与に関する規定の概要は以下のとおりです。

 

事前確定届出給与とは,定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しない給与で,その役員の職務につき所定の時期に,確定した額の金銭または確定した数の株式等を交付する旨の定めに基づいて支給する給与で,原則として予め届出をしているものをいいます。

 

もう少しわかりやすくいいますと,取締役甲さんに○月△日に××万円を支給しますと定めて,これを予め届け出た給与という意味です。

 

ただし,①同族会社以外の法人が定期給与を支給しない役員に対して金銭で支給する給与,②株式又は新株予約権による給与で将来の役務の提供に係る一定のもの,については届出の必要はありません。

 

事前確定届出給与の届出期限は次のとおりです。

(1)原則:株主総会等の決議により役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨を定めた場合・・・次のいずれか早い日

A その決議をした日(その日が職務執行開始日後である場合には職務執行開始日)から1月を経過する日

B 職務執行開始日の属する会計期間開始の日から4月(確定申告書の提出期限の延長の特例の指定を受けている法人についてはその指定に係る月数に3を加えた月数)を経過する日

(2)新設法人の場合:その設立の日以後2月を経過する日

(3)臨時改定事由により新たに事前確定届出給与の定めをした場合:次のいずれか遅い日

A (1)の届出期限((2)に該当する場合は(2)の期限)

B 臨時改定事由が生じた日から1月を経過する日

 

事前確定届出給与の届出書に記載すべき主な事項は次のとおりです。

(1) 法人の名称,納税地,法人番号及び代表者氏名

(2) 事前確定届出給与対象者の氏名及び役職名

(3) 事前確定届出給与の支給時期,各支給時期における支給額又は交付株式数等

(4) 株主総会等の決議により上記支給額及び支給日等を定めた日並びにその決議機関等

(5) 事前確定届出給与に係る職務執行開始日

(6) 定期同額給与による支給としない理由及び事前確定届出給与の支給時期を(3)の時期とした理由

(7) 事前確定届出給与以外の給与の支給時期及び支給額

 

このように,事前確定届出給与は支給時期,支給金額が事前に確定していて,実際にもその定めのとおりに支給される給与に限られますので,所轄税務署長へ届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合には,事前に支給額が確定していたものとはいえないことから,その支給額は事前確定届出給与に該当しないものとなり,それが増額支給であっても減額支給であっても,実際の支給額の全額が損金不算入となります。特に,増額支給の場合には増額分だけではなく,全額が損金不算入となることに注意が必要です。

 

また,例えば6月と12月にそれぞれ200万円の事前確定届出給与を支給する旨を定めた場合において,6月は定めたとおりに200万円を支給したものの,12月は半額の100万円しか支給しなかった場合には,12月の100万円だけが事前確定届出給与に該当しないこととなるわけではなく,6月と12月の全額が事前確定届出給与に該当しないこととなり,支給合計の300万円全額が損金不算入となります。

 

事前確定届出給与を支給する旨を定めて届け出たものの,実際には全く支給しなかった場合には,税務上は次のような仕訳を認識します。

(借方)役員賞与 (貸方)未払金

(借方)未払金  (貸方)債務免除益

 

これは,株主総会等で事前確定届出給与を定めた時点で債務が確定しているため,役員賞与を一旦認識し,その上で債務免除益を認識する必要があるからです。この場合,役員賞与に対する源泉所得税の問題も生じてしまいます。

 

そこで,上記のような税務上の問題を回避するため,実務上は,支給日到来前に役員賞与を不支給とする臨時株主総会等の決議をしておく必要があります。

 

そうすることで,事前確定届出給与の届出をしたものの,資金繰り等の都合により支給を止めたいと思った場合であっても,税務上の影響を受けることなく,その支給を止めることができます。

 

事前確定届出給与は年に3回までの支給であれば社会保険上は賞与として取り扱われますが,月額報酬及び賞与に対する社会保険料の算定にはそれぞれ上限があることから,月額報酬と賞与のバランスを考慮して金額設定を行うことで,場合によっては社会保険料の金額を総体的に低く抑えることが可能となります。

 

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特定の事業用資産の買換えの特例

2024-10-18(金) 13:05:40

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個人が,事業の用に供している特定の地域内にある土地建物等(譲渡資産)を譲渡し,一定期間内に特定の地域内にある土地建物等の特定の資産(買換資産)を取得して,その取得の日から1年以内にその買換資産を事業の用に供したときは,一定の要件のもと,譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができます(あくまでも繰り延べであって,譲渡益が非課税となるわけではありません)。

 

当該買換え特例のうち最も活用されるのは「三号」買換えですが,その主な適用要件は次のとおりです。

 

譲渡資産及び買換資産の組合せ

[譲渡資産]

国内にある土地等,建物又は構築物で,譲渡の日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるもの

[買換資産]

国内にある土地等(特定施設の敷地の用に供されるものでその面積が300㎡以上のものに限る),建物又は構築物

 

※特定施設とは,事務所,工場,作業場,研究所,営業所,店舗,倉庫,住宅その他これらに類する施設(福利厚生施設を除く)をいいます。

 

当該買換え特例の適用を受けることができる譲渡資産及び買換資産は,事業又は事業に準ずるものの用に供されているものに限られますが,「事業に準ずるもの」とは,事業と称するに至らない程度の不動産又は船舶の貸付けその他これに類する行為で,相当の対価を得て継続的に行われるものをいいます。

 

買換資産として土地等を取得した場合には,その土地等の面積が譲渡資産の土地等の面積の5倍を超えるときは,その5倍を超える部分の面積に対応する部分は買換資産に該当しません。

 

原則として,譲渡資産を譲渡した日の属する年の12月31日までに買換資産を取得する必要がありますが,前年中の取得(先行取得)又は翌年中の取得(翌年取得)の場合の特例規定があります。

 

先行取得した資産を買換資産として当該買換え特例の適用を受けようする場合には,その先行取得した資産を取得した年の翌年3月15日までに,「先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

 

また,譲渡資産を譲渡した年の翌年中に買換資産を取得する予定の場合には,譲渡した年の確定申告書を提出する際に,取得する予定の買換資産についての取得予定年月日,取得価額の見積額及び買換資産が買換え特例の組合せのいずれに該当するかの別,その他の明細を記載した「買換(代替)資産の明細書」を添付する必要があります。

 

なお,工場等の敷地の造成や工場等の建設等に要する期間が通常1年を超えると認められる場合等一定の場合には,納税地の所轄税務署長の承認を得ることができれば,譲渡した年の前々年から譲渡した年の翌年以後2年の間に買換資産を取得すれば当該買換え特例の適用を受けることができます。

 

令和6年4月1日以後に譲渡資産を譲渡し,同日以後に買換資産を取得した場合で,当該買換え特例の適用を受ける場合には,譲渡資産の譲渡の日(同日より前に買換資産の取得をした場合にはその取得の日)を含む三月期間※の末日の翌日から2か月以内に,当該買換え特例の適用を受けたい旨を記載した「特定の事業用資産の買換えの特例の適用に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

※三月期間とは,1月1日~3月31日,4月1日~6月30日,7月1日~9月30日,10月1日~12月31日の各期間をいいます。

 

課税の繰延べ割合は原則として80%ですが,「三号」買換えの場合における譲渡資産及び買換資産の組合せによって,90%,75%,70%及び60%と様々です。

 

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分掌変更による役員に対する退職給与

2024-09-04(水) 17:36:50

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法人税法34条1項は,「内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与で業績連動給与に該当しないもの(略)を除く。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は,その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入しない。」と定め,「次に掲げる給与」として,①定期同額給与,②事前確定届出給与,③業績連動給与の3つを規定しています。

 

また,同条2項において「その役員に対して支給する給与の額のうち不相当に高額な部分の金額」を,同条3項において「事実を隠蔽し,又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額」を,それぞれ損金の額に算入しないと規定しています。

 

よって,役員に対する退職給与は不相当に高額でなく,かつ,事実を隠蔽・仮装して支給したものでない限り,損金の額に算入されることになるわけですが,課税実務上は事実認定の問題もあり,その性質上,金額も高額になりがちであるため,その解釈は容易ではなく,課税上しばしば問題となります。

ちなみに,法人税法では役員に対する退職給与に関する直接的な規定は設けていません。

 

ところで,常勤役員が非常勤役員になるなどの分掌変更の際に退職金を支給するということは,実務上,まま見受けられますが,このような退職金に関しては,法人税基本通達9-3-32が次のように定めています。

 

「法人が役員の分掌変更又は改選による再任等に際しその役員に対し退職給与として支給した給与については,その支給が,例えば次に掲げるような事実があったことによるものであるなど,その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し,実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には,これを退職給与として取り扱うことができる。

(1)常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)になったこと。

(2)取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及び〈略〉を除く。)になったこと。

(3)分掌変更等の後における役員(その分掌変更等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)の給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。」

(注)本文の「退職給与として支給した給与」には,原則として,法人が未払金等に計上した場合の当該未払金等の額は含まれない。」

 

なお,上記通達は,実際に退職していない者に対する退職給与の支給であっても,実質的な事情を鑑みて税務上の取扱いを緩和する趣旨でありますから,例えば上記(3)の要件である「分掌変更後の給与が50%以上減少」を形式的に満たしていたとしても,実質的に退職したと同様の事情にない場合には,その支給した臨時的な給与を退職給与として損金算入することはできません。

 

また,「法人の経営上主要な地位を占めていない」とは抽象的な表現であるため,最終的にはそれぞれの法人における事実認定の問題ですが,例えば,次のような事案に関与している場合には,法人の経営上主要な地位を占めていると考えられます。

①採用や人事異動,給与査定等の人事上の決定

②主要な売上先や仕入先等への対応

③取引先の選定や新規契約等の営業上の決定

④金融機関等への対応

⑤設備等の取得や修繕等の会計上の決定

⑥主要な経営会議への出席や指示命令等

 

分掌変更による役員に対する退職給与に関する上記通達は,実際には退職していないものの,実質的に退職したと同様の事情にあること(地位の低下)を前提としているため,従前と勤務実態が変わらず,単なる勤務関係の延長と認定されないように,客観的事実を複数積み重ねておくことが重要だと思われます。

 

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所得税の予定納税

2024-08-17(土) 10:07:18

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所得税は,納税者がその年の経過後において納税額等を申告し,その申告した税額を自主的に納付することを建前としていますが,確定申告時に一時に多額の税額を納付することは納税者にとって非常に負担となること,国としては歳入を平準化する必要があること,所得の発生の都度それに応じて納税するのが理想的であること,などの理由から,その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納付しなければならない予定納税制度を設けています。

 

そして,翌年の確定申告において,確定申告書で計算した税額から予定納税額を差し引くことで,税額の過不足分を精算することになります。

 

予定納税の対象となる者は,前年分の所得金額や税額などを基準にして計算した「予定納税基準額」が15万円以上となる者です。

予定納税基準額は,原則として,前年分の申告納税額がそのまま予定納税基準額となりますが,前年分の所得金額のうちに本年は生じないと考えられる臨時的な所得(譲渡所得,一時所得,雑所得及び臨時所得)がある場合にはそれらを除外して計算し,また,源泉徴収税額も除外して計算します。

予定納税基準額=調整後所得税額-源泉徴収税額

 

予定納税額は,原則として,予定納税基準額の3分の1の金額を,第1期(7月1日~7月31日※)及び第2期(11月1日~11月30日)の計2回(特別農業所得者の場合は予定納税基準額の2分の1を第2期に1回)納付することとなります。

※令和6年は定額減税実施の関係で第1期の納期限が9月30日とされています。

 

予定納税額は税務署長が計算し,その年の6月15日までに書面で通知することになっていますので,納税者は申告等を要しないのですが,その年6月30日又は10月31日の現況で,次の(1)~(4)に該当し,その年の所得税額が前年の所得税額を下回ると見込まれる場合には,第1期及び第2期については7月15日※までに,第2期については11月15日までに,予定納税額の減額承認の申請を行うことができます。※令和6年は定額減税実施の関係で7月31日までとされています。

(1) 廃業や休業,失業をした場合

(2) 業況不振などのため,本年分の所得が前年分の所得よりも明らかに少なくなると見込まれる場合

(3) 災害や盗難,横領により事業用資産や山林に損害を受けた場合

(4) 次の①から⑤のように,本年分の所得控除額や税額控除額が前年分と比較して増加する場合

① 災害や盗難,横領により住宅や家財に損害を受けたなどのために雑損控除を受けられる場合

② 多額の医療費を支出したため医療費控除を新たに受けられる場合や前年分よりも医療費控除額が増加する場合

③ 配偶者控除,配偶者特別控除,扶養控除,障害者控除,寡婦控除,ひとり親控除を新たに受けられる場合や,これらの控除の対象となる人が増加した場合

④ 社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除,生命保険料控除,地震保険料控除の控除額が増加する場合や,一定の寄附金を支出したため寄附金控除を受けられる場合

⑤ (特定増改築等)住宅借入金等特別控除や政党等寄附金特別控除,認定NPO法人等寄附金特別控除,公益社団法人等寄附金特別控除,住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除、認定住宅等新築等特別税額控除などを新たに受けられる場合や、これらの控除額が増加する場合

 

なお,予定納税は,その年の所得税額が確定する前に納税する前払いではありますが,定められた納期限までに納税しないと延滞税が課されます。予定納税額を納期限までに納付せず,確定申告時期にまとめて納税しても延滞税は免除されませんので注意が必要です。

 

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印紙税の基礎

2024-07-17(水) 16:30:50

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印紙税は,日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で,印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書が課税の対象となります。

原則として,作成した文書について文書の作成者が自ら課税文書に該当するか否かを判断し,税相当額の収入印紙を課税文書に貼付して消印することにより納付する方式(自主納付方式)を採用しています。

 

課税文書に該当するか否かは文書の全体を一つとして判断し,その判断に当たってはその名称や記載されている文言により形式的に行うのではなく,その文書に記載されている文言,符号等を用いることについての当事者間における了解や慣習等を加味して総合的に行います。

例えば,文書に取引金額そのものの記載はないが,文書に記載されている単価,数量等により当事者間において取引金額が計算できる場合はそれを記載金額とし,また,売掛金の請求書に「済」や「了」と表示してあり,その「済」や「了」の表示が売掛金を領収したことの当事者間の了解事項であれば,その文書は売上代金の受領書(第17号の1文書)に該当することになります。

また,印紙税は課税事項を証明する目的で作成される文書を課税対象とするものですから,一つの事実について複数の文書を作成しても,それが課税事項を証明する目的で作成されたものであれば,証明力の強弱を問わず複数の文書全てが課税対象となります。

後日に正式文書を作成する予定で一時的に作成する仮契約書であっても,当該仮契約書が課税事項を証明する目的で作成されたものであるときは,やはり課税文書に該当します。

なお,同一法人等の内部の取扱者間又は本店,支店及び出張所間等で,当該法人等の事務の整理上作成する文書は課税文書に該当しません。

 

印紙税の税額はその文書に記載された「記載金額」により算定されますが,「記載金額」とは,契約金額,受取金額など,その文書の課税事項に係る金額として,その文書に記載されている金額をいいます。

予定金額などが記載されている場合には,その記載されている予定金額,概算金額,最高金額又は最低金額がその文書の記載金額となります。

月単位等で契約金額を定めている契約書で契約期間の記載があるものは,契約金額に契約期間の月数等を乗じて算出した金額を記載金額とします。なお,契約期間更新の定めがあるものについては,更新前の期間のみを記載金額算出の基礎とし,更新後の期間は考慮しません。

消費税額が区分記載されている場合又は税込価格及び税抜価格が記載されていることにより,その取引に当たって課されるべき消費税額が明らかである場合には,その消費税額は記載金額に含めません。

 

印紙税の納税義務は課税文書を作成した時に成立し,課税文書の作成者がその作成した課税文書について印紙税を納める義務があります。

課税文書の作成者とは,原則として,その文書に記載された作成名義人です。現実に誰が作成したか,その文書の効力は誰に帰属するかを問わず,その文書に記載された作成名義人が作成者となります。

ただし,法人などの役員又は従業員がその法人などの業務又は財産に関して作成したものについては,役員又は従業員が作成名義人となっていても,その法人などが作成者となります。

 

一の課税文書を2以上の者が共同して作成した場合には(契約書を2通作成して双方1通ずつ保管する場合など),その2以上の者はその作成した課税文書について連帯して印紙税を納める義務があります。この場合,そのうちの1人がその課税文書に係る印紙税を納めたときは,他の者の納税義務は消滅します。

よって,実務でよく見受けられる契約当事者の一方が印紙を貼付していない場合において,適正に印紙を貼付している他方に課税当局が印紙税の未納を指摘したとしても,他の者が負担することになっているという抗弁は認められません。

 

課税文書の作成者が,その納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には,その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額(すなわち不納付税額の3倍)に相当する過怠税が徴収されます。

 

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