HOME >BLOG

BLOG

教育資金一括贈与の贈与税の非課税

2013-04-24(水) 08:17:17

カテゴリー:

平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間に,30歳未満の子や孫が,親や祖父母から教育資金を一括で贈与を受けた場合には,1,500万円まで非課税となる制度が新設されました。すなわちもう始まっています。

 

従来から,扶養義務者相互間において生活費や教育費を贈与した場合,通常必要な金額をその都度贈与する分には何ら課税上の問題はありませんでしたが,今回の制度は,その時必要な金額を超えて一括して贈与した場合であっても,その時は取り敢えず1,500万円までは課税しないというところに特徴があります。

 

制度の概要は以下の通りです。

まず,親又は祖父母が贈与する金額を金融機関に信託します(預けます)。

そして,子や孫は教育資金に関する領収書等を金融機関に提示して金銭の払い出しを受けます。

子や孫が30歳になった時点で残額があれば贈与税が課税されます。

 

教育資金の範囲は大きくは2つに分かれていて,学校等に対して直接支払うものと,学校等以外に対して直接支払うものです。

 

学校等に対して直接支払うものは,入学金,授業料,入園料,保育料,施設設備費,学用品の購入,修学旅行代,学校給食費等です。私立学校への寄附金は国税庁HPの例示に掲載されていませんので非課税対象外となる可能性が高いと思います。

 

学校等以外に対して直接支払うものは,学習塾,そろばん塾,水泳教室,野球教室,ピアノ教室,絵画教室,バレエ教室等へ直接支払うものです。この場合において,習い事で必要となる備品は,その教室を通して購入したものは非課税対象になりますが,街のお店で個人的に購入したものは対象となりません。また,学校等以外に直接支払ったものについては上限500万円という制限があります。

 

高齢者の預貯金を景気刺激材料に使用する為に導入されたこの制度ですが,早くも運用上の問題点が指摘されています。

 

まず,この制度の適用を受けるためには,金融機関で教育資金口座の開設を行った上で,「教育資金非課税申告書」を当該金融機関を通じて所轄税務署長へ提出する必要があります。

そして,金銭払い出しの為の領収書も金融機関へ提出します。

金融機関はそれらを長期に渡り保管しなければなりません。0歳の子や孫への贈与の場合,その子が30歳になるまで保管する必要があるわけですから最長36年です(贈与税の課税処分は6年後まで遡ることができるため)。

教育資金の残額があれば36年後に贈与税が課税されるわけですが,適正な課税が可能なのかいささか疑問です。

 

しかも,この制度の適用期間は今のところたったの2年9ヶ月です。

制度が延長される可能性はありますが,もし延長されなかった場合,たった2年9ヶ月のために36年間の資料保存義務が金融機関に課されます。

 

多額の相続税を支払うよりは取り敢えず贈与しておこうという選択は有りかも知れません。

一時の課税を逃れるための時間稼ぎにはなりそうです。