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大衆税目化する相続税

2012-07-25(水) 16:18:57

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 先の衆議院本会議において税制抜本改革法案が修正議決され参議院に送付されました。

 同法案は消費税法の改正項目以外にも所得税や相続税の改正項目を含んでいましたが,当初の法案が修正された時点で所得税や相続税に関する部分は丸ごと削除されています。

 これにより,所得税や相続税の増税は先送りになりました。

 しかし,相続税の増税は財務省の長年の夢ですので,来年以降の税制改正項目に必ず含まれると思われます。
 そこで,仮に相続税の税制改正が実現しますと,どれくらいの影響があるか検証してみます。

(予定されている改正項目)
・基礎控除の引下げ(定額控除5,000万円→3,000万円,法定相続人1人につき1,000万円→600万円)
・最高税率の引上げ(取得財産6億円超は50%→55%)
・死亡保険金の非課税限度額の引下げ(未成年者,障害者,同一生計の者に限定される)
・未成年者控除,障害者控除の引上げ(6万円→10万円)

(例)父・母・既に結婚して別生計の子2人の4人家族の場合。自宅は母が相続したとします。
*世田谷の自宅の土地(120㎡)路線価50万円×120㎡=評価額6,000万円
*世田谷の自宅の建物 評価額500万円
*預貯金 2,000万円
*生命保険金 2,000万円

第1次相続の相続税の計算は以下の通りです。
①課税財産額(6,000万円-4,800万円※1)+500万円+2,000万円+(2,000万円-500万円※2)=5,200万円
②基礎控除 3,000万円+600万円×3※3=4,800万円
③相続税額 (①-②)×税率※4=40万円

(※1)小規模宅地等の減額 配偶者が相続した場合は原則として80%減額
(※2)生命保険の非課税額は500万円×同居していた法定相続人の人数(今回は配偶者のみ)
(※3)法定相続人の数(今回は3人)
(※4)課税価額1,000万円以下は税率10%

第1次相続の納税額は40万円ですからそれほど問題ではありません。問題は第2次相続です。

第2次相続の相続税の計算は以下の通りです。
①課税財産額6,000万円※1+500万円+2,000万円+2,000万円※2=10,500万円
②基礎控除 3,000万円+600万円×2※3=4,200万円
③相続税額 (①-②)×税率※4=1,190万円

(※1)小規模宅地等の減額 同居してないので適用なし
(※2)生命保険の非課税額 同居してないので適用なし
(※3)法定相続人の数(今回は2人)
(※4)課税価額10,000万円以下は税率30%-700万円

 税制改正が実現しますと,上記のとおり第1次相続及び第2次相続の合計で1,230万円もの相続税額になります。

 今後,都心中心部に自宅を所有している方の相続人は,ほとんどの方が相続税を納税することになりそうです。

 よって,事前の対策が必要不可欠になると思われます。