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未払残業代のお話
数年前から電車内で 「支払い過ぎた利息を取り戻せるかも知れません。」 という弁護士や司法書士の吊広告をよく見かけるようになりました。最近ではテレビやラジオでもCMを聴くようになりました。
多くの消費者金融は利息制限法の制限金利である20%を超えて貸付を行っていたため、これを超える利息を支払い続けてきた債務者は、利息の過払いが発生しているケースがあります。
20%と制限されているのに何故それを超えて貸付できるのかといいますと、別の法律である出資法が上限金利を29.2%と定めているからです。
こうした過払い金が発生している債務者に対し、完全成功報酬を謳って弁護士や司法書士が過払い金の返還交渉や訴訟を手掛けるようになり、同様の事例が一気に広がり 「過払い金返還請求」 という一つのビジネスが成り立つようになりました。
そして、次に注目されている同様のビジネスが、「未払残業代請求訴訟」 です。
これが前出の過払い金返還請求と同様に広がり始めると、日本の中小企業はかなりの打撃を受けます。
日本の中小企業の場合(大企業もそうかも知れませんが)、適正に残業代を支払っている企業はそう多くありません。良くも悪くも労使ともにサービス残業を甘受しているというのが現状です。
しかし、労働基準法が経営側の実態を顧みずに労働者保護の姿勢をより強めていることもあり、最近では 「あなたは残業代をちゃんともらっていますか?」 と未払残業代請求訴訟を煽るような弁護士も出てきています。
会社に不満があり退職していった人などは、完全成功報酬型の弁護士に依頼することで訴訟に躊躇することはないでしょう。
しかも労働基準法第114条は、「裁判所は、(中省略)~規定による賃金を支払わなった使用者に対して、労働者の請求により、~使用者が支払わなければならない金額についての未払い金のほか、これと同一額の付加金の支払いを命ずることができる。~」 と規定しており、場合によっては倍額の支払いを要するケースもあります。
よって会社側は、このような未払残業代請求訴訟を提訴されないよう事前に社会保険労務士などの専門家に相談し、万全の対策を考える必要があります。