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所得税の予定納税
所得税は,納税者がその年の経過後において納税額等を申告し,その申告した税額を自主的に納付することを建前としていますが,確定申告時に一時に多額の税額を納付することは納税者にとって非常に負担となること,国としては歳入を平準化する必要があること,所得の発生の都度それに応じて納税するのが理想的であること,などの理由から,その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納付しなければならない予定納税制度を設けています。
そして,翌年の確定申告において,確定申告書で計算した税額から予定納税額を差し引くことで,税額の過不足分を精算することになります。
予定納税の対象となる者は,前年分の所得金額や税額などを基準にして計算した「予定納税基準額」が15万円以上となる者です。
予定納税基準額は,原則として,前年分の申告納税額がそのまま予定納税基準額となりますが,前年分の所得金額のうちに本年は生じないと考えられる臨時的な所得(譲渡所得,一時所得,雑所得及び臨時所得)がある場合にはそれらを除外して計算し,また,源泉徴収税額も除外して計算します。
予定納税基準額=調整後所得税額-源泉徴収税額
予定納税額は,原則として,予定納税基準額の3分の1の金額を,第1期(7月1日~7月31日※)及び第2期(11月1日~11月30日)の計2回(特別農業所得者の場合は予定納税基準額の2分の1を第2期に1回)納付することとなります。
※令和6年は定額減税実施の関係で第1期の納期限が9月30日とされています。
予定納税額は税務署長が計算し,その年の6月15日までに書面で通知することになっていますので,納税者は申告等を要しないのですが,その年6月30日又は10月31日の現況で,次の(1)~(4)に該当し,その年の所得税額が前年の所得税額を下回ると見込まれる場合には,第1期及び第2期については7月15日※までに,第2期については11月15日までに,予定納税額の減額承認の申請を行うことができます。※令和6年は定額減税実施の関係で7月31日までとされています。
(1) 廃業や休業,失業をした場合
(2) 業況不振などのため,本年分の所得が前年分の所得よりも明らかに少なくなると見込まれる場合
(3) 災害や盗難,横領により事業用資産や山林に損害を受けた場合
(4) 次の①から⑤のように,本年分の所得控除額や税額控除額が前年分と比較して増加する場合
① 災害や盗難,横領により住宅や家財に損害を受けたなどのために雑損控除を受けられる場合
② 多額の医療費を支出したため医療費控除を新たに受けられる場合や前年分よりも医療費控除額が増加する場合
③ 配偶者控除,配偶者特別控除,扶養控除,障害者控除,寡婦控除,ひとり親控除を新たに受けられる場合や,これらの控除の対象となる人が増加した場合
④ 社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除,生命保険料控除,地震保険料控除の控除額が増加する場合や,一定の寄附金を支出したため寄附金控除を受けられる場合
⑤ (特定増改築等)住宅借入金等特別控除や政党等寄附金特別控除,認定NPO法人等寄附金特別控除,公益社団法人等寄附金特別控除,住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除、認定住宅等新築等特別税額控除などを新たに受けられる場合や、これらの控除額が増加する場合
なお,予定納税は,その年の所得税額が確定する前に納税する前払いではありますが,定められた納期限までに納税しないと延滞税が課されます。予定納税額を納期限までに納付せず,確定申告時期にまとめて納税しても延滞税は免除されませんので注意が必要です。
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