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自宅売却による譲渡損失の繰越控除について

2024-06-19(水) 10:47:28

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個人が土地や建物を譲渡して譲渡損失が生じたとしても他の所得との損益通算はできませんが,自宅を売却して譲渡損失が発生した場合には,一定の要件に該当すれば,その譲渡損失をその年の他の所得から差し引くことができます。これを損益通算といいます。

 

更に,損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については,譲渡した年の翌年以後3年内の各年分の総所得金額等から繰越控除することができます。

この損益通算と繰越控除については,自宅の買換えを前提としない場合(売却のみ)と買換えを前提とする場合の2種類の制度があります。

 

1.自宅の買換えを前提としない場合

主な適用要件は次のとおりです。

①譲渡資産について譲渡した年の1月1日における所有期間が5年を超えること

②譲渡資産である家屋が居住の用に供されなくなったものである場合には,その居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるものであること

③譲渡資産の譲渡に係る契約を締結した日の前日において償還期間10年以上の住宅借入金の残高を有すること

 

損益通算及び繰越控除の限度額は次のとおりです。

・譲渡損失の金額と譲渡価額の合計が住宅借入金の残高を上回る場合

住宅借入金の残高-譲渡価額=適用可能額

 

・譲渡損失の金額と譲渡価額の合計が住宅借入金の残高を下回る場合

譲渡損失の金額=適用可能額

 

2.自宅の買換えを前提とする場合

主な適用要件は次のとおりです。

①譲渡資産について譲渡した年の1月1日における所有期間が5年を超えること

②譲渡資産を譲渡した年の前年1月1日から譲渡した年の翌年12月31日までの間に買換資産を取得すること

③買換資産を取得した年の翌年12月31日までの間に居住の用に供した又は供する見込みであること

④買換資産を取得した年の12月31日において買換資産に係る償還期間10年以上の住宅借入金の残高を有すること

⑤買換資産となる家屋の居住用床面積が50㎡以上であること

 

3.適用除外

次に該当する場合には上記1及び2のいずれも適用することができません。

①損益通算をしようとする年の前年以前3年以内に上記1及び2のいずれかの適用を受けている場合

②譲渡した年の前年又は前々年において行った資産の譲渡について以下の特例の適用を受けている場合

・居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率)

・居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除

・特定の居住用財産の買換えの特例

・特定の居住用財産の交換の特例

③繰越控除の適用を受けようとする年分の合計所得金額が3,000万円を超えている場合

④譲渡の相手先が親子や夫婦など特別の関係がある者である場合

※特別の関係がある者とは,このほか生計を一にする親族,家屋を売却した後その売却した家屋で同居する親族,内縁関係にある者,特殊な関係のある法人なども含まれます。

 

上記1及び2は,いずれも住宅借入金残高を有しないと適用がなく,使い勝手が良いとは言い難いですが,条件に該当する場合には上手に活用したいところです。

 

※ブログの内容等に関する質問は一切受け付けておりませんのでご留意ください。