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役員給与について

2024-01-18(木) 16:35:07

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法人税法では,その役員に対して支給する給与(退職給与その他一定のものを除く)のうち,次に掲げるものだけが損金の額に算入されます。

 

①定期同額給与

支給時期が毎月などの一定の期間ごとであり,かつ,その事業年度内の各支給時期における支給額が同額であるもの。

 

②事前確定届出給与

その役員の職務につき所定の時期に確定した額の金銭等を交付する旨の定めに基づいて支給される給与で予め届出をしているもの(①及び③に該当するものを除く)。

 

③業績連動給与

利益の状況を示す指標などを基礎として算定される一定の給与で業務執行役員に対するもの(同族会社を除く)。

 

上記を要約しますと,

①毎月一定の額を支給する役員給与,

②予め支給金額と支給時期を届け出た役員給与,

③業績に連動する業務執行役員への給与(同族会社を除く)

だけが損金の額に算入されます。

 

次に,上記を充たす役員給与であっても,「不相当に高額な部分の金額」は過大な役員給与として損金の額に算入されません。

不相当に高額か否かの判定には実質基準と形式基準があり,そのいずれをも充たしている必要があります。

 

・実質基準

その役員に対して支給した給与の額が,当該役員の職務の内容,その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況,その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし,当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額であること。

 

・形式基準

定款の規定又は株主総会等の決議により定めた役員に対する給与として支給することができる金銭等の限度額以内であること。

 

実質基準については客観的な基準が存在しないため,何をもって不相当に高額であるかを巡り,税務調査等においてしばしば課税当局と争いになります。

事業類似法人や近隣同業他社との比較とはいっても,課税当局が蓄積しているこれらの情報は非公開であり,一般的に,納税者側はこれらの情報量の比較において圧倒的に不利な立場です。

よって,実務的には非常に難しい部分ではありますが,現実的には公開されている数少ない役員給与に関する統計やデータベース等から,自社の役員給与が不相当に高額でないかどうかを事前に検討しておくくらいしか対策がありません。

 

一方,形式基準については形式を整えておけば課税上問題となることはほぼありませんので,役員給与を変更する場合には株主総会議事録などを適時適正に作成し,保管しておく必要があります。

なお,役員に対する給与には経済的利益も含まれますので,形式基準による過大役員給与の判定にあたっては金銭以外の経済的利益も含めて行います。

役員に対する経済的利益の典型例としては,債務免除,保険料負担,低金利による貸付け,渡切交際費などがあります。

また,「その役員に対して支給した給与の額」には,役員報酬のほか,当該役員が使用人兼務役員である場合に当該役員に対して支給するいわゆる使用人分の給料,手当等も含みます。

よって,形式基準による過大役員給与の判定にあたっては,その役員が使用人兼務役員である場合には,使用人部分の給料,手当等も含めて,過大給与かどうかを判定することになります。

ただし,定款又は株主総会等において,使用人兼務役員に対する役員給与の限度額等につき,使用人としての職務に対するものを含めないで定めているときは,その支給した給与の額が限度額等を超えるかどうかは,使用人部分の給与を除外して判定します。

使用人兼務役員に対する経済的利益(住宅を貸与した場合の経済的利益を除く)については,他の使用人に対して供与されている程度のものである場合には,その経済的利益は使用人としての職務に係るものとして取り扱われます。

 

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