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相続土地国庫帰属制度

2023-06-06(火) 13:22:02

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昨年4月の当ブログでお知らせした「相続土地国庫帰属制度」ですが,今年4月27日から申請受付がスタートしました。

この制度は,相続等により取得した土地を手放し国庫に帰属させることで,将来的に土地が所有者不明化し,管理不全化することを予防することが可能になる,と期待されています。

 

制度の概要は次のとおりです。

 

<申請権者>

申請することができる者は,相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。以下「相続等」)により土地の所有権の全部又は一部を取得した相続人です。

単独所有の場合はもとより,共有に属する土地であっても,相続等により土地の共有持分の全部又は一部を取得した相続人がいて,他の共有者全員で共同して申請する場合には,その共有者も申請することができます。

また,その共有者の中に法人がいる場合であっても,共有者全員で共同して申請する場合には認められます。

 

<却下要件>

土地管理費用の国への不当な転嫁等を防止するため,次のいずれかに該当する土地は申請できません。

(1) 建物の存する土地

(2) 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地

(3) 通路その他の他人による使用が予定される土地で次のものが含まれる土地

①現に通路の用に供されている土地

②墓地内の土地

③境内地

④現に水道用地・用悪水路・ため池の用に供されている土地

(4) 土壌汚染対策法上の特定有害物質により汚染されている土地

(5) 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否,帰属又は範囲について争いがある土地

 

なお,境界については測量や境界確認書の提出まで求めるものではなく,既設境界標,地物,地形又は工作物等の存在により境界点を表示することができる場合はそれで足り,それらが存在しない場合は申請者が境界点を表示する目印を設置する必要があります。

 

<不承認要件>

次のいずれかに該当する土地は承認されません。

(1) 崖(勾配30度以上,かつ,高さ5m以上のもの)がある土地のうち,その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの

(2) 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物,車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地

(3) 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地

(4) 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地

(5) 通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する次の土地

①災害により土地や土地周辺の人,財産に被害を生じさせるおそれを防止するための措置が必要な土地

②土地に生息する動物により土地や土地周辺の人,農産物,樹木に被害を生じさせる土地

③適切な造林・間伐・保育が実施されておらず,国による整備が追加的に必要な森林

④国庫に帰属した後,国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地

⑤国庫に帰属したことに伴い,法令の規定に基づき承認申請者の金銭債務を国が承継する土地

 

<負担金>

要件審査を経て承認を受けた者は,負担金を支払う必要があります。

負担金とは土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額で,次の区分に応じ,それぞれ次に掲げる金額です。

(1) 宅地:一律20万円(一部の市街地は面積に応じて算定 (例)100㎡で約55万円)

(2) 田畑:一律20万円(一部の市街地,農用地区域等は面積に応じて算定 (例)500㎡で約72万円)

(3) 森林:面積に応じて算定 (例)1,500㎡で約27万円)

(4) その他:一律20万円

 

この制度は,いつの相続かの期限は定められていませんので,何十年も前に相続した土地であっても要件に合致すれば利用することができます。

 

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