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一般社団法人
法人を設立して事業を始めようとするとき,株式会社又は合同会社を選択することが一般的だと思いますが,設立目的や事業内容等によっては一般社団法人という選択肢もあります。
一般社団法人というと公益社団法人や公益財団法人が頭に浮かび,自分で設立するというとピンと来ない方がほとんどだと思いますが,公益法人制度が改正された平成20年以降は,誰でも一般社団法人を簡単に設立することができるようになりました。
一般社団法人とは,「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立された社団法人のことをいい,設立登記をすることによって成立する法人です。
一般社団法人及び一般財団法人(以下,一般社団法人等)が行うことができる事業に何ら制限はありませんので,公益的な事業はもちろん,町内会・同窓会・サークルなどのように構成員に共通する利益を図ることを目的とする事業(共益的な事業)を行うこともできますし,あるいは,普通に商売として事業を行うことも何ら問題ありません。
では株式会社と何が違うのかというと,株式会社は「営利」活動を行うのに対し,一般社団法人は「非営利」活動を行うという点です。
この場合における「営利」とは,株式会社においては株主への利益の分配,一般社団法人では社員への利益の分配を意味します。
非営利だから利益を出してはいけないと誤解されやすいのですが,そうではなく,利益を出してもよいが分配してはいけない,ということです。
その他の主な相違点は次のとおりです。
一般社団法人 | 株式会社 | |
設立者の人数 | 社員2名以上 | 発起人1名以上 |
出資金 | 不要 | 1円以上 |
役員の任期 | 理事2年(短縮可) | 取締役2年(10年まで延長可) |
原始定款認証 | 不要 | 要(印紙4万円) |
設立登録免許税 | 6万円 | 15万円 |
税金の取扱いですが,法人税法では,一般社団法人の類型は次の3つに分かれ,それぞれの法人税の取扱いはそれぞれに掲げるとおりです。
1.公益社団法人・公益財団法人
一般社団法人等のうち,公益法人認定法に基づく公益認定を受けた法人をいいます。一般的には事業を始める際の選択肢にはなり得ないのでここでは省略します。
2.非営利型法人
公益認定を受けていない一般社団法人等のうち次の①又は②に該当するものは,法人税法上は公益法人等として取扱われ,特定の34種ある収益事業から生じた所得のみが課税対象となり,収益事業以外から生じた所得については課税されません。
①非営利型が徹底された法人
剰余金の分配を行わないことや解散時における残余財産を国や地方公共団体等に贈与することを定款に定めている等の要件を満たしている。
②共益的活動を目的とする法人
会員に共通する利益を図る活動を行うことを目的とし,定款に会費の定めがあり,主たる事業として収益事業を行っていないこと等の要件を満たしている。
3.非営利型法人以外の法人
公益認定を受けていない一般社団法人等のうち上記2以外のものは,普通法人として取扱われ,株式会社と同様に全ての所得が課税対象となります。
このように3つに分類される一般社団法人ですが,商売として事業を始める場合には,ほとんどのケースで上記3に分類されますので,結局のところ税金の取扱いとしては株式会社とほぼ同じということになります。
よって,設立目的や事業内容等によっては,「一般社団法人」という名称が持つイメージを重視し,株式会社や合同会社ではなく,あえて一般社団法人を選択するというのも有益である場合があります。
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