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ビル新築に伴う固定資産税等への対応

2021-01-08(金) 16:58:38

カテゴリー:

<固定資産税>

自宅を建築したことがある方は経験があると思いますが,家屋を建築すると都税事務所から設計関連図書の提出を求められます。

これは,固定資産税を課すために建築した家屋の評価額を決定する必要があるからです。

 

固定資産税における家屋の評価額は,不動産の購入価格や建築工事費ではなく,総務大臣の定める固定資産評価基準によって算出します。

この評価基準では,使用している資材一つひとつに点数を付し,それらを積み上げて家屋全体ではどれだけの点数になるのかを算出し,それに経過年数に応ずる減点補正率や床面積及び設計管理費等を考慮した評点一点当たりの価額を乗じて,評価額を算出します。

評価額の算出方法は家屋の大きさにかかわらず同じですので提出する書類の種類は基本的には同じですが,オフィスビル新築となりますと個人の戸建て住宅とは比較にならないほどの膨大な量となります。

 

先日,小職の関与先が新築したオフィスビルの家屋評価において提出を求められた主な書類は次の通りです。

建築工事請負契約書,建築確認申請書,見積書,検査済証,平面図,立面図,断面図,空調設備図,建具表,エレベーター詳細図,給排水設備図,電気設備図,受変電設備図,杭伏図,給湯器一覧,避雷針図など。

 

また,これらの書類を提出し都税事務所が家屋評価を進めていく過程において,設計図書通りに建築されているか確認するために現地調査が実施される場合もあります。

その場合には,後述する償却資産税や事業所税の現地調査も同時に行われるため,場合によっては10名くらいの調査官により調査が実施されます。具体的には各階平面図を手にし,1階から最上階まで皆でぞろぞろと移動しながら調査官がそれぞれの確認箇所を確認しつつ,質問があれば答えるという対応になります。

 

家屋評価は早ければ資料提出から1か月程度で終了しますが,オフィスビルなどの大きな家屋になりますと数か月から1年程度かかる場合もあります。

 

そうしますと,東京23区の場合,通常は毎年6月上旬に固定資産税の納税通知書が郵送されてきますが,前年の後半に家屋の建築が完成したような場合には,家屋評価が終わらず6月の納税時期までに間に合わないというケースが出てきます。

 

その場合,随時課税といって家屋評価が終了次第,納税通知書が郵送されてきて,通常4回の納期が2回や3回の納期となり,変則的な納税となります。

 

<償却資産税>

固定資産税というと土地や家屋に課されるのが一般的ですが,法人や個人事業主が有する償却資産にも固定資産税は課されます。

通称,償却資産税といい,オフィスビル建築に伴う主な償却資産は,舗装路面,門や塀,緑化施設などの外構工事,看板,受変電設備,インターネット設備,入退室システム設備,カーテンレール,ウッドデッキ,集合郵便受,宅配ボックス,外灯設備,サイン工事,給湯器及びルームエアコンなどです。

 

償却資産税は土地や家屋に対する固定資産税とは異なり,自らが償却資産をその取得価額とともに申告する必要があります。

 

しかしながら,膨大な設計関連図書の中から自ら償却資産を一つひとつ抽出するのは現実的ではなく,また,家屋評価に含まれている資材などを抽出してしまうと二重課税となってしまうため,実務的には償却資産の抽出も都税事務所に依頼してしまうことがほとんどです。

ただし,償却資産の抽出は家屋評価のタイミングで依頼しておかないと対応してもらえないため,依頼するのをうっかり忘れてしまうと後々大変な作業を自ら行う必要があります。

 

<事業所税>

あまり聞きなれない税目ですが,23区内全域における事業所等の床面積の合計が1,000㎡を超える事業者又は23区内全域の従業者数の合計が100名を超える事業者には,事業所税という税金が課されます。

 

自らが使用している床面積の合計ですので賃貸している場合には貸主に課税はされないのですが,非課税となる避難通路の面積や共用床面積は建築主でなければ算出することができないため,新築した時点で他者の事業所税申告のための資料作成を都税事務所に依頼され,協力することになります。

 

このように,大きな家屋を建築しますと,固定資産税などの対応にそれなりの時間を要することになります。

 

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