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今年の年末調整は要注意

2020-11-12(木) 16:12:29

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今年もそろそろ年末調整の準備をする時期になりましたが,今年はこれまでと異なる部分が多く,制度がより複雑になっていますので注意が必要です。

 

1.給与所得控除額の改正

給与所得者の給与等の収入金額から控除される「給与所得控除」の額が10万円引き下げられました。

また,給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額が1,000万円超から850万円超となり,控除額の上限が220万円から195万円に引き下げられました。

 

2.基礎控除の改正

所得税の計算時に納税者の所得から差し引かれる「基礎控除」の額が一律38万円から最大48万円に引き上げられました。ただし,所得金額2,400万円超の場合は段階的に控除額が減額され,2,500万円を超えると基礎控除の適用を受けることができなくなりました。

なお,給与所得控除の引き下げ(-10万円)と基礎控除の引き上げ(+10万円)が同時に行われるため,年収850万円以下(給与所得のみ場合)の人は税負担に影響はありません。

 

3.所得金額調整控除の創設

給与等の収入金額が850万円を超える所得者で,以下の要件のいずれかに該当する人の総所得金額を計算する場合には,給与等の収入金額(その金額が1,000万円を超える場合には1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額を,給与所得の金額から控除することとされました。

・納税者本人が特別障害者

・同一生計配偶者が特別障害者

・扶養親族が特別障害者

・扶養親族が年齢23歳未満

 

4.ひとり親控除の創設と寡婦(寡夫)控除の改正

婚姻歴や性別にかかわらず,所得者がひとり親(現に婚姻をしていない人又は配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち,次に掲げる要件を満たす人)である場合には,「ひとり親控除」として,その人のその年分の総所得金額から35万円を控除することとされました。

・その人と生計を一にする子を有すること。

・合計所得金額が500万円以下であること。

・その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいないこと。

 

また,ひとり親以外の寡婦については引き続き「寡婦控除」として27万円が控除され,子以外の扶養親族がいる寡婦についても所得制限(合計所得金額500万円以下)が設けられました。

 

5.上記2及び3のための新たな申告書

上記2の基礎控除の適用を受けるためには「基礎控除申告書」の提出が必要となり,上記3の所得金額調整控除の適用を受けるためには「所得金額調整控除申告書」の提出が必要となりました。

そして,これらの申告書は,これまでの「配偶者控除等申告書」とともに,3つの申告書が1枚の用紙になっています。

 

6.記載上のポイント

所得金額により基礎控除額に変更があるといっても従業員が基礎控除申告書を提出する時点(通常11月又は12月)では,12月分の給与等が確定していないため自分の所得金額がいくらであるのかわかりません。

そこで,基礎控除申告書には,年収の見込額を計算し,それを基に所得金額を推計して記入することになります。

配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受ける場合も同様で,配偶者の所得金額を記入する欄は,年収の見込額を基に推計して記入することになります。

 

7.その他

上記5の新たな申告書(基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書といいます)以外に,例年どおり「扶養控除等申告書」や「保険料控除申告書」の提出も必要になります。

また,住宅ローン控除の適用を受ける場合には「住宅借入金等特別控除申告書」の提出も必要となります。

 

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