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小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)

2020-10-02(金) 13:01:51

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被相続人の事業の用又は居住の用に供されていた小規模な宅地は,一般に残された相続人の生活基盤の維持に必要不可欠なものであり,相続人がこれを廃して処分することは相当の制約を受けるため,相続税の課税価格に算入すべき価額を計算する上では一定の減額が必要であるという趣旨から,小規模宅地等の特例という制度が設けられています。

 

小規模宅地等の特例が適用される宅地には,特定事業用宅地等,特定同族会社事業用宅地等,貸付事業用宅地等及び特定居住用宅地等の4種類がありますが,そのうち特定居住用宅地等に対する取扱いの概要は以下のとおりです。

 

個人が,相続又は遺贈により取得した財産のうち,その相続開始の直前において被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族(以下,被相続人等)の居住の用に供されていた宅地等(土地又は土地の上に存する権利)については,一定の条件を満たせば相続税の課税価格に算入すべき価額から80%が減額されます。

この制度は相続税を計算する上で最も減額効果が大きい制度の一つで,限度面積は330㎡です。

尚,事業の用や貸付の用に供されていた場合には80%又は50%が減額される制度があり,これらと併用する場合には一定の面積制限があります。

課税価格の80%が減額される「特定居住用宅地等」とは次の条件を満たす宅地等をいいます。

 

<配偶者が取得した場合>

配偶者が取得した場合には特に条件はありません。相続した後すぐに売却しても80%減額の適用があります。

 

<被相続人と同居していた親族が取得した場合>

相続開始前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し,かつ,その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。

 

<配偶者及び一定の同居親族が存せず非同居親族が取得した場合>

①被相続人に配偶者がいないこと。

②相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には,その放棄がなかったものとした場合の相続人)がいないこと。

③相続開始前3年以内に日本国内にある取得者,取得者の配偶者,取得者の三親等内の親族又は取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと。

④相続開始時に,取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと。

⑤その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること。

⑥相続人が外国に居住している場合には,居住制限納税義務者又は非居住制限納税義務者のうち日本国籍を有しない者ではないこと。

 

配偶者又は同居親族が取得した場合の条件は比較的わかりやすいと思いますが,それ以外の場合はなかなか難解です。

 

納税資金が無いケースでは特に所有継続要件に注意が必要です。相続した土地を売却して売却代金を納税資金に充当する場合,配偶者取得以外の場合には申告期限までに売却してしまうと所有継続要件を満たさなくなり小規模宅地等の特例を適用することができません。よって,同特例の適用を受ける場合には,一旦,別の方法で納税資金を確保して納税を済ませた後に売却する必要があります。

 

尚,被相続人が相続開始直前において養護老人ホーム等へ入所していたため居住していなかった場合には,一定の条件を満たせば,居住の用に供していたと認められます。

 

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