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マンション管理組合の課税関係

2019-06-20(木) 19:54:37

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マンションの管理組合は区分所有法第3条の規定により設立される組織です。

登記して法人とすることもできますが,一般的には登記せずに,いわゆる「権利能力なき社団」として活動します。

この権利能力なき社団は法人税法では「人格のない社団等」に該当し,法人とみなされて法人税の納税義務を有します。

ただし,株式会社等の普通法人とは区別し,課税されるのは収益事業を行う場合のみです。

よって,マンション管理組合は収益事業を行った場合には法人税の納税義務を有することになります。

 

マンション管理組合が行う収益事業の代表格は駐車場の貸付けですが,その貸付け形態により次のように取扱われます。

 

①区分所有者である入居者のみに賃貸するケース

マンション管理組合が区分所有者というその構成員に対してのみ駐車場を賃貸する場合,それはその構成員を対象とする共済的な事業であり,その駐車場使用料は管理費等の割増金と考えられます。

一般的にはその駐車場使用料は区分所有者に分配されることはなく,組合運営費又は修繕積立金の一部に充当されますから,このような駐車場使用料はその全額が収益事業には該当しません。

これは,マンション内の会議室やゲストルーム等の利用料についても同様です。

 

②第三者へ賃貸するケース(区分所有者と同条件)

第三者へ賃貸するにあたり,駐車場使用料や賃貸期間等の賃貸条件について第三者と区分所有者とで特に区別せず,第三者へ賃貸した後に区分所有者から利用希望があった場合であっても,第三者に対して早期退去を求めないという場合には,駐車場使用料の全額が収益事業に該当します。

 

③第三者へ賃貸するケース(区分所有者優先条件有り)

第三者への賃貸は区分所有者の利用希望がない場合のみで,第三者へ賃貸した後に区分所有者から利用希望があった場合には,一定の期間内に明け渡さなければならないという区分所有者優先条件が付してある場合には,駐車場使用料のうち第三者から収受した部分だけが収益事業に該当します。

 

④短期間限定で第三者へ賃貸するケース

第三者への賃貸は予定していなかったが,近隣で道路工事を行っている土木業者から申出があり,工事期間中(約2週間)に限り賃貸することとしたケース等の短期間限定の一時的賃貸の場合には,その一時的賃貸は管理業務の一環であると考えられるため,区分所有者から収受した駐車場使用料も当該一時的使用料もその全額が収益事業に該当しません。

 

駐車場貸付業以外にもマンション管理組合が行う事業はいくつか考えられますが,マンション屋上に広告看板を設置したことによる広告主からの看板設置料は,不動産貸付業に該当し,収益事業に該当します。

また,最近多いのはマンション管理組合が移動体通信業者との間で携帯電話基地局の設置を目的として建物賃貸借契約を締結し,当該契約に基づいてマンション屋上の一部を移動体通信業者に使用させ,その設置料収入を得るケースですが,これは上記の看板設置料と同様に不動産貸付業に該当し,収益事業に該当します。

 

マンション管理組合が収益事業につき法人税等の申告をする場合には,その収益事業に係る収入から経費を控除して計算するわけですが,この場合,直接的な経費は当然として,間接的な経費すなわち非収益事業との共通経費についても,合理的に按分することで収益事業に係る経費として控除することができます。

これは減価償却費についても同様であり,駐車場そのものの減価償却費だけでなく,例えば建物躯体の共用部分についても合理的に按分することで収益事業に係る経費として控除することができます。

 

(参考)月刊税理2019年5月号

 

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