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法人の青色申告

2017-03-28(火) 16:59:47

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所得税の申告の種類に白色申告と青色申告があることは広く知られているところですが,法人税にも白色申告と青色申告があります。

法人税の確定申告はその複雑さゆえに税理士に依頼するケースがほとんどでしょうから,法人の代表者が白色とか青色とか意識する機会はほぼ無いと思いますが,今回は改めて法人税における白色申告と青色申告の違いについて確認してみます。

 

所得税と同様に,法人税も青色で申告したい場合には事前に申請が必要です。

申請をしない法人は白色申告となりますが,株式会社や合同会社の場合はほぼ100%青色申告の申請をします。

そうしないと不利益を被るからです。

法律上は申請となっていますが,実質的には届出です。

過去に青色申告の取消処分を受けていたりしない限り,承認されないということはありません。

 

青色申告の特典のうち代表的なものは以下の通りです。

逆に言うと,白色申告の場合はこれらの適用が全てありません。

 

欠損金の翌期移行への繰越し

青色申告書を提出した事業年度において生じた欠損金額は翌期以降10年間繰越すことができます。

例えば,第1期100万円の赤字,第2期30万円の黒字,第3期80万円の黒字だった場合,第1期法人税は当然0円,第2期は30万円の黒字ですが第1期の赤字が繰越されますので第2期も法人税0円,第3期は80万円の黒字ですが第1期の赤字がまだ70万円(100万円-30万円)繰越されますので,80万円-70万円=10万円となり,10万円に対してだけ法人税が課されます(※1)。

一方,白色申告はこの繰越しができません。

 

帳簿書類の調査に基づく更正

税務署長は青色申告書を提出した法人に対して更正処分(税金を追徴課税すること)をする場合,その法人の帳簿書類を調査し,その帳簿書類に誤りがあると認められる場合に限り,更正処分をすることができます。

一方,白色申告の場合は帳簿書類を調査することなく,税務署の判断で推計により計算し,課税することができます。

 

減価償却資産に関する特例

建物,機械,車両及び備品などの減価償却資産のうち取得価額10万円未満のものは購入した時に一時の損金に算入できますが,それ以外のものは一時の損金とすることはできず,耐用年数に応じて減価償却するのが原則です(※2)。

しかし,青色申告には次の特例があります。

中小企業者等で青色申告法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人については,取得価額30万円未満のもの(少額減価償却資産)は購入した時に一時の損金に算入できます。

この場合の損金算入限度額はその事業年度における少額減価償却資産の合計額300万円までです。

 

給与支給額が増加した場合の特別控除

青色申告法人が従業員に対する給与や賞与を前事業年度よりも増額した場合には,一定の要件のもと,法人税額から特別控除額が控除されます。

 

青色申告制度は納税者に一定の帳簿書類を備え付けさせて,その見返りとして各種特典を付与する制度ですが,このような制度が設けられた背景には,戦後,当時の我が国には事業者の間に日々の取引を記帳するという慣行が無く,そのため過少申告が続出し,これに対する大量の更正処分と,それに対する不服申立て,減額の更正,再び行われる不十分な申告という悪循環に陥ったという経緯があるようです。

 

それはともかくとして,上記のような特典を享受し得る青色申告が取り消されることのないよう,日々適正な会計帳簿作成を志しましょう。

 

※1 資本金1億円超の一定の大法人は,所得金額の50%に相当する金額がその事業年度において控除できる限度となります。

※2 10万円以上20万円未満のものは36ヶ月で期間按分とすることもできます。