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実効税率の計算方法
【実効税率の計算方法】
法人には様々な租税が課税されますが,その主たる税目と税率はそれぞれ次の通りです(資本金1億円以下の中小法人の場合)。
法 人 税 所得800万円以下15%,800万円超25.5%
地方法人税 4.4%
法人住民税 法人税の12.9%
法人事業税 所得400万円以下3.4%,400万円超800万円以下5.1%,800万円超6.7%
地方法人特別税 事業税の43.2%
単純に合計しますと最大で約43%となりますが,いわゆる実効税率はそのように計算するのではありません。
地方法人税,住民税及び地方法人特別税は所得金額に税率を乗じるのではなく他の税額に税率を乗じるものであること,事業税と地方法人特別税は納税額が経費に算入できることから,これらを考慮しますと,実効税率は以下のような算式から導き出すことができます。
【法人税率の引下げと実効税率】
平成27年4月1日以後に開始する事業年度から法人税の税率が引き下げられ,それぞれ次の税率となります。
大法人 23.9%(改正前25.5%)
中小法人 年間所得800万円以下の部分15.0%(改正前同じ),800万円超部分23.9%(改正前25.5%)
この改正により,中小法人の実効税率は次の通りとなります。(※都道府県により若干異なります。)
年間所得400万円以下の部分 21.42%
年間所得400万円超800万円以下の部分 23.20%
年間所得800万円超の部分 34.33%
個人事業主の方が,そのまま個人事業主として経営してゆくか,或いは法人を設立して法人化してゆくかを悩まれるケースがありますが,税率だけで比較しますと法人化のほうが有利と言えそうです。
もっとも,個人事業が有利か法人が有利かは,所得金額や業種,家族構成や社会保険適用の有無等を総合的に勘案して判断する必要がありますので一概には言えませんが,総じて,法人化した方が有利となるケースが多いです。
ちなみに平成27年度税制改正大綱では,「平成28年度以降の税制改正においても法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指して改革を継続していく」と明記されており,今後更に実行税率が引き下げられる可能性がありますが,その前提には「課税ベース拡大」があり,現行では欠損金の繰越控除制度は中小法人について100%認められているところ,今後はこれが縮小していくと思われます。
※欠損金の繰越控除制度
前期以前の赤字(欠損金)を,当期に生じた黒字と相殺することができる制度。相殺すると当期の黒字が減少するため,結果として納税額が減少する。
中小法人の場合は前期欠損金を100%当期黒字から控除できるが,大法人の場合は当期黒字の80%までしか控除できず,残額は来期以降での控除となる。大法人についてはこの控除割合が平成27年度以降65%,平成29年度以降は50%となることが既に決まっている。