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タワーマンションによる相続税対策

2014-07-22(火) 22:06:40

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最近,注目されているタワーマンションによる相続税対策を解説します。

但し,賃貸物件としての購入はお勧めしません。あくまでも自己或いは親族使用の場合に限ります。

 

マンションは土地の敷地持分と建物持分で構成されています。

よって,相続税の計算上も土地の敷地持分と建物持分をそれぞれ評価しますが,土地はマンション敷地全体を路線価で評価し,それに持分を乗じて計算します。建物は住戸ごとに固定資産税評価額が付されますのでそれを使用します。

 

東京都心部にある某タワーマンション20階に5,000万円で販売された住戸がありまして,この住戸のH25年分建物固定資産税評価額は600万円でした。

土地は路線価から敷地全体を評価し,それに持分を乗じると1,000万円でした。合計1,600万円です。

購入価額は5,000万円でも相続税評価額は1,600万円です。

 

何故このような差が生じるかと言いますと,マンションの多くは近隣の専有面積当たりの単価を相場として価格設定されるため,土地の実勢価格とリンクしなくなるためです。

特に容積率割増を受けた大規模タワーマンションは,一住戸当たりの土地持分が少ないので相続税評価額は実際の販売価格よりもずっと低くなります。

 

タワーマンションは上層階と下層階とで販売価格に大きな差がありますが,このタワーマンションでは同じ床面積の住戸であっても40階が7,000万円で,2階は3,500万円でした。

 

ところが,土地の敷地持分や建物固定資産税評価額は単に面積だけを基準にしますので,40階であっても2階であっても敷地持分や床面積が同じだと相続税評価額も同じです。

よって,40階7,000万円,20階5,000万円,2階3,500万円とそれぞれ販売価格は違っても,相続税評価額は全住戸とも同じ1,600万円です。眺望や向き(南向き・北向き)は相続税評価額には反映されません。

 

どの階層でも良いのですが,例えば父がこのタワーマンションを5,000万円で購入し,暫くして子に贈与します。相続税評価額は1,600万円ですから相続時精算課税を適用しますと贈与税はゼロとなります。

 

更にしばらくして贈与を受けた子がこれを5,000万円で売却します。

譲渡代金は当然子が受け取ります。受贈物件を譲渡した場合の取得費は,当時購入した者(父)の購入価額を引き継ぎますので,キャピタルゲインは少額で,ゆえに譲渡所得税は少額に抑えられると思います。

子が自己居住用で使用していたのであれば,居住用3,000万円控除まで適用可能です。

 

但し,売却する時期が早すぎて課税当局から否認された事例もありますので注意が必要です。

 

(参考:バードレポート571号)