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贈与税負担無しで次世代に1億円贈与する方法
相続税対策として賃貸不動産を購入する方法は今も昔も有効であり,スタンダードな方法の一つでありますが,今回は,法人を利用することで贈与税を負担することなく次世代に財産を移転する方法をご説明します。
基本的な考え方は個人も法人も同じで,不動産の市場価格と相続税評価額の乖離を利用します。
1億円で買った賃貸不動産でも相続税の計算をするときの相続税評価額はそれよりも相当低いことが一般的であり,30%減,50%減は珍しくありません。これを利用します。
①まずは財産を移転したい方が1億円を出資して法人を設立します。
資本金1億円を超えますと中小企業に認められている各種税額軽減措置が適用できなくなりますので,資本金は最大で1億円とします。
この時点では現金1億円が新設した法人の「株式」という財産に移転しただけで,当該株式の株価は1億円のままです。
②次に,新設した法人で2億円の銀行融資を受けて,3億円の賃貸不動産を購入します。
購入後における法人の株価は,当該法人が所有している財産を一つひとつ評価し,その合計額をもって評価額とします。
そうしますと,前述の通り,賃貸不動産は購入した金額ではなく相続税評価額で評価しますので,3億円で購入した賃貸不動産であっても相続税評価額はそれよりもずっと低い価格での評価が可能となります。ここでは半額の1億5千万円になったとします。
借入金はそのまま評価しますので2億円のままです。
その結果,資産1億5千万円から負債2億円を控除するとマイナス5千万円となり,この時点で当該法人は債務超過となります。
債務超過の法人の株価は0円です。
③0円となった株式を次世代に贈与します。
0円の株式を贈与しても贈与税は課税されませんので,これにより,贈与税を負担することなく現金1億円を賃貸不動産という資産として贈与することができました。
ただし,一点だけ注意が必要です。
説明をシンプルにするために「3億円で買った賃貸不動産が1億5千万円の評価額に下がる」としましたが,評価額が下がるまでには少なくとも3年の期間が必要になります。
株価評価上,土地と建物は購入して3年間は相続税評価額ではなく通常の取引価額で評価すると定められているためです。そのため,3年の間は株価は下がりません。
この仕組みを応用しますと,既に好業績の会社を経営されていて,当該法人の株価が高く,このままでは相続税の負担が心配だという方にも対応できます。
今も昔も賃貸不動産を利用した相続税対策は有効です。