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消費税の税率改正に関する経過措置
既報の通り「消費税法の一部を改正する等の法律案」が成立致しました。これにより消費税の税率が8%,10%と段階的に上がります。
具体的には,今から1年半後に5%から8%となり,更にその1年半後には8%から10%になります。
「消費税法改正で税率8%」と強調されて報道されていますが,今から3年後には消費税率は現在の倍となります。1割もの消費税が課税されるのはとても大変なことです。景気に悪影響を及ぼすのではないかと懸念されるのも首肯できるところです。
過去に消費税率が3%から5%へ改正されたときと同様に,今回も請負工事や資産の貸付け等については経過措置が講じられています。
●請負工事に関する経過措置
平成25年10月1日(指定日)の前日までに締結した工事・製造の請負に係る契約に基づき,平成26年4月1日以後にその契約に係る課税資産の譲渡等を行う場合,その課税資産の譲渡等については改正前5%が適用される。
(解説)
完成物の引渡しが平成26年4月1日以降である場合,原則として消費税率は改正後の8%が適用されるのであるが,建物の建設や機械の製造など通常数ヶ月以上かかる工事については,指定日の前日までに契約していれば,たとえ完成物の引渡しが平成26年4月1日以降であって
も,指定日現在の税率(この場合は5%)が適用される。
●資産の貸付けに関する経過措置
指定日の前日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき,平成26年4月1日前から同日以後引き続きその契約に係る資産の貸付けを行っている場合で,契約の内容が次の①及び②又は①及び③の要件に該当するときは,平成26年4月1日以後の貸付けに係る消費税は改正前5%が適用される。
①貸付期間と対価の額が定められていること。
②事情の変更等で対価の額を変更できないこと。
③契約期間中に解約できないこと。
(解説)
リース取引のように,一定期間リース物件を固定リース料でリースする場合において,指定日の前日までに契約したリースについては,リース期間が平成26年4月1日以降に入り込む場合であっても,指定日現在の税率(この場合は5%)が適用される。
このように,平成25年10月1日(指定日)の前日までに契約したものについては,物の引き渡しやサービスの提供が平成26年4月1日以降となった場合であっても,改正前の5%が適用されるため,建物や機械の設備投資,あるいはリースを予定している場合には,改正消費税との関連性を十分に検討する必要がありそうです。