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区分所有マンションの管理費と修繕積立金の損金性

2010-12-14(火) 08:01:33

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法人が区分所有する賃貸マンションの管理費や修繕積立金について、各管理組合へ支出した事業年度に全額損金算入が認められるか否かが争われた裁判で、福岡高裁は、実際に費消した部分のみ損金算入できるとして、全額損金算入できると主張した納税者の訴えを退けました(平成22年5月27日判決)。

マンションの管理組合は、毎事業年度の初めにその年度の予算を決めますが、このとき、一般的には過度な余剰金は発生しないように予算を決定します。

所有者から徴収した管理費が、おおよそその年度において支出されていれば問題ありませんが、余剰金が多すぎると、支出した管理費の損金性が問題になります。

今回の福岡高裁判決では、実に、支出した管理費の70%以上が余剰金として管理組合に滞留しており、課税当局も裁判所もそのことを問題視し、余剰金部分については、未だ債務は確定していないと認定しました。

また、修繕積立金についても、通常は長期修繕計画等を策定し、それに基づき徴収すべきところ、今回の事件では長期修繕計画がなく積立金の算定根拠が全く不明であり、更に、管理費との区分もされないで積立金が管理運営されており、とても債務が確定しているとは言えないと認定しました。

要するに、管理費及び修繕積立金というのは名目であり、意図的に法人から管理組合へ資金を移動することにより蓄財を図ったと認定されたわけです。

今回の事件は、20棟余りも所有する法人のケースでちょっと極端ですから、この判決が及ぼす射程範囲もおのずと限られると思いますが、マンションの管理費の損金性については考えさせられる判決です。

ちなみにこの判決は最高裁に上告されており現在係属中です。

最高裁がどのような判断を下すのか、注目されます。

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