HOME >BLOG
ペイオフ発動により生じた損失は税法上なんら救済されない?!
日本振興銀行の破綻により我が国で初めてペイオフが発動されましたが、個人の場合は税法上なんら救済されない可能性が高いです。
ペイオフでは、預金者一人当たり元本1,000万円までとその利息の合計額については預金保険制度により保護されます。しかし、1,000万円を超える部分については必ずしも全額は保護されません。
では、保護されなかった部分は税法上どのように取り扱われるでしょうか?
まず、利子所得の費用としてみることができるか否かですか、そもそも利子所得にはそこから控除できる費用という概念が存在しません。所得税法もそのようになっていますから、利子所得から費用として控除することはできません。
次に雑損控除を受けることができるか否かですが、雑損控除を受けられる場合とは、「災害又は盗難若しくは横領」により、資産について損害を受けた場合ですから、これにも当てはまりません。
次に個人事業主の場合の資産損失としての必要経費算入の可能性ですが、この場合の資産とは、「不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産」となっており、普通預金や定期預金はこれに該当しないため、必要経費算入も不可です。
よって、個人の場合、現行税法では事業主であるか否かを問わず、ペイオフ発動により切り捨てられた部分は、税法上なんら救済されません。
但し、ペイオフ発動は我が国では初めてのケースであるため、今後何らかの手当がされるかも知れません。
注視していきたいと思います。